【解説】Stormer snowfoxの関節について

バイオニクル作品「Stormer snowfox」完成 pic.twitter.com/Z4L17MKNzO
— ウルエ (@uruelabo) December 2, 2017
この記事では主に可動ギミックについて取り扱う。
この作品におけるおもしろポイントは3点ある。
それらを
・肩・股関節・膝関節
の順に解説を交えつつ紹介していきたい。
写真は本記事のために撮り下ろすので構造は上記ツイートの時点とは少し変わっている部分がある。進歩しているはず・・・。
基本的な組み方の思想は渋み(関節保持のための摩擦力)の調整と可動範囲の確保である。
うまくいったかはさておき、努力の痕跡くらいは見えることと思う。
まず、肩について。
肩は非常に苦手意識のある部位だ。
仙台ニクランドの住民たるぼくの主戦場は下半身の関節なので、考察が足りない部分が多いのだろう。
正直腕は重量がかかりにくいのであまり強化せずともよいのではないかとも思う。
ただぼくは何でもかんでも複雑な作りにしたい病を患っているので、横に出したボールジョイントにそのまま接続する構造は避けることにした。
出来たのがこちら。
ぶっちゃけ計画的に作られたところは一切ないので、なぜこのような作りになったのかはよくわからない。
そのため設計の哲学のようなものはないのだが、せめて各部の意味合いを解説していく。
まず手に取ったのはトーアマタの足パーツ。
適度なボリュームがあって、シャフト穴があって、入手がさほど難しくない、というとても優秀な部品だと思う(トーアマタは比較的中古屋さんで見かけることが多いように思う。)。
これと超便利テクニックコネクタ(これ)の間に長さ2の薄リフトアームを一枚だけ挟み、固定する。あえて空間を設けることでトーア足とコネクタとが前後にすれ違うようなスライドの動きを可能にしている。以下のように、赤枠の部分が動く。
胴体との接続は上腕後部にあるホーディカの首パーツとトーア足の踵部のシャフト穴に3ミリバーで回転を許すように固定したボール受けによって行う。
下図の方にホーディカ首は胴体内部に仕込まれたXT-4胴体フレームの足側のボールから伸ばしたボール受けに、踵から伸ばしたボール受けは胸側に一度折り返すような形で付けたヒーローファクトリーのフレームに接続する。
これら二つのボールジョイント群を巻き込むような形で肩の接続が完成する。
前述のスライド機構を動作させると二つのボールジョイント群の間に隙間が生まれ、可動のためのクリアランスを確保する(下図赤枠)。肩のボール受けは回転するため、これを作った空間に折りたたむと腕を横に開いたり、前に上げたりする動きが可能になる。
次に股関節について。
注目ポイントはずばり股関節の引き出し機構である。
これはフィギュアやプラモデルに多く投入されるギミックであり、本来は股関節の回転軸を下方向にスライドさせることで可動域を増大させるというものである。本作でもこれを狙ったのだが、今回は太めの大腿部の稼働後のシルエットを整えるくらいの役割である。
製作にあたって、頭と脇腹の次につくられたのが股関節だ。
初期段階に作ったせいもあり、当初の目的があまり生きないデザインになってしまったのは反省点だが、次作である程度活用されたのでまあ良しとする。
腿の上側に肉付きがあったほうが効果が大きいのだ。
こちらが引き出した様子。向かって左側の足を下方向にスライドさせている。
引き出し機構にはホーディカ首を根元で回転させる手法をとった。図中の赤線はホーディカ首についているリフトアーム部分とボール部分のアングルを表している。ざっくり45度ほどの回転によって股関節の軸の高さが変わっているのがわかる。
基部ではホーディカ首の先端のシャフト穴をポッチ付きシャフトのポッチ部分と長さ2のペグ分の渋さで支えている。下の写真は股関節を上から見た様子。ホーディカ首のつながる部分を取り出したものを左側に置いた。
股関節の裏側には股関節の渋みを増すためのシリンダーが仕込まれているが、シリンダーはもとより伸縮ができるわけなので、軸の位置を下げると伸びて追従することでその機能を失うことはない。
写真にはあまり写っていないが、シリンダーから伸びたボールジョイントの受けは角度が付けられているので開脚の可動範囲を極力妨げないようになっている。
余談だが完成後に腿上部のポチスロは黒に変更された。
海外ビルダー、カラースキーム警察多くない???
最後に膝関節について。
本作には二重関節が用いられており、1/4円パーツを用いて円のように作られた膝の上下に一つずつの関節を作っている。
膝も股関節同様作品の重量を受け止めなければいけない部位であるから、強度の設定には強く気を使った。ツイートの完成報告の後にもさらなる強化を行っている。
構造は下の写真のとおり。左は足の内側から、右は膝の裏側から見たところ。
まず写真上側の膝の上側の関節について。
使用した関節はボールジョイント3つ+シリンダー。
よくある挟みこみのボールジョイント配置の内腿側にさらにボールジョイントを繋げ、臀部とシリンダーで直結する方式をとった。ストッパー付きのシャフトのおかげで少しトリッキーなボールジョイントの使い方が可能になっている。
また、太ももの前面にシリンダーを這わせ、さらに強度を増した。
特に変わったことはしていないけれど、たぶん本作の中でいちばん強い関節がここ。
続いて膝の下側。
デザイン的な制約があり若干強化がしにくかった個所。
完成ツイートの時点ではボール受け二つのみの接続が行われている。
2008年あたりの割れやすい、でも渋いボール受けを使うことで足掻いている。
後に構造を少し変え、少し渋みを増したのが写真の姿。
シャフトをポッチ付きのものに替え、ふくらはぎのリフトアームを長さ5のものに延長し、これをポッチに噛ませることでボールジョイントにくわえてポッチの分の渋みも獲得した。
リフトアームの固定のためのシャフトはストッパー付きのものにしているので動かすことによる分解リスクもなく、我ながらここはスマートに強化できたと思う。
以上、ストーマーの関節で個人的に作っていて面白かった部分を挙げた。
ギミックを考えるということを最優先したことで、そのギミックが生きるかどうか、というところまでは考えが回っていない部分もあるのがお分かりいただけるだろう。
関節を考案する作業とその関節を最適な形で使って作品を仕上げる作業の両立は遠き道のりだ。
ただ、作品を作るうえでどこか一点でも新しい構造にチャレンジする、ということは大事にしたいので懲りずに試行していきたいと思っている。
まず作って、それを改善していくのが完成への近道かもしれない。
外装とフレームが分かれているわけではないのでどこまで簡素化するかは未定だが、個人的な記録もかねて基礎骨格的な部分は後日インスト化したい。
ご覧頂いた方、ありがとうございました。
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